M44-7のバリエーション

SHURE社のホームページにも記述がないのであまり確実ではありませんが。

手持ちのM44-7で最初期型と思われるモデルは白色ボディ・白色針。いずれもシルバーのプレートが付いています。おそらく1960年台の製品でしょう。

中期型と思われるモデルは茶色ボディ。1970年台の製品でしょう。

後期型は黒のボディ。カモメマーク付きと無しがありますが、どちらも同じ音色なのでここから構造が変わったと思われます。

音色的には年代ごとに特徴が違います。

最初期の白色カモメは低音に独特の響き感があります。サックスやシンバルの鮮烈さはTYPEIII以上なのですが、この独特の響き感が背景にあるため、よりJAZZ的なコントラストが鮮烈になる傾向があります。JAZZの名盤が次々にリリースされた時代なので売れたのも納得です。

クラシックには合わない、というご意見もあるようですがドビュッシーだけは例外で。

曖昧模糊とした低音の中に時折煌めく曲の作りがこのカートリッジのキャラクターととても良く合います。ラヴェルも良いですね。ただ、交響曲に対する分解能や、弦楽器の艶描写などクラシックに対する万能性という点ではSPUの方がやはり圧倒的に格上です。

最初期型はメーカー公称の周波数帯域が20kHzまであって、17kHzの後期型とは仕様が少し違うのかも知れません。


後期型の黒色モデルはカモメマークのあるなしに関係なく、同じサウンドです。カモメマークの有無より針のコンディションの方が差異は大きく出ますので中古を探される際はその辺は注意されたら良いでしょう。JICOの針は個人的にはテイストを含めてとても良いと思います。後期型ですとオリジナルに拘る意味はあまりないでしょう。

典型的な樽型特性なのですが、中域の歌いっぷりが捌けた感じで特にボーカルがぐっと前に出てきます。同時代のロックの名盤をかけると、溢れるほどの力感があって、あの時代に引き戻されます。こちらはクラシックは無理だと感じます。JAZZはウッドベースの響きがやや物足りなく感じますがドラムはよく切れますね。

初期型はJAZZの時代。
後期型はロックの時代。
そう考えるとなるほどよく出来ているな、と感心します。

HIPHOPやDJプレイで人気が出たのは後期型の音色でしょうね。確かに、マジックで力強く描いたような芯のある描写は傾向がよく合っています。デジタルでは少し均質すぎて物足りない場合に使われるのでしょう。

これはこれで一つは持っておきたいものです。

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