M44-7を鳴らせるアンプ
たぶん、現行の市販品には存在しないと思います。 SHURE社が公開している技術仕様は400〜500pFの47kΩで、出力は時代によって9mV〜11mVです。残念ながら市販品は400pFまでしかフォローしていませんが、聴感で調整した限りでは450pFでジャストでした。また、かなり高出力ですのでどうしても吐き出す電圧がプリの至適入力を超える傾向があります。ロードラインがずれてしまうのです。 樽型特性の補正は負荷入力だけではダメで、RIAAの定数を少し触る必要があるかもしれません。もちろん、そのままの特性を本来の味わい、としてもよいのですが、高域側のピークを少し抑え、低域側をわずかに持ち上げると滋味豊かな代物に化けます。元の声紋が「印象的」なのです。 C22の二重補正をいじってもいいですし、マランツ7のトーンコントロール回路(EQのRIAA特性をいじるのと原理的には一緒です)をいじってもいいでしょう。残念ながらマランツ7の11段のトーンコントロールでは数値がドンピシャではないので間を聴感で拾う必要があります。さすがに同時代の製品なので入力オーバーはないです。 イコライジングと針圧を丁寧に合わせると、濁りのないピアノとベースの胴の鳴音とシンバルやサックスの金属音と、どれも「印象的」な響きがでます。 そういうアンプがないために、地味な誤った評価しか受けられないのでしょう。自作される方は挑戦する値打ちがあると思います。本物のSHUREサウンドはやはり鮮烈です。